肩とはキ甲から前腕の付け根当たりまでのことを指し、主に角度を見ます。胸は肩を含む胴体の前部分で長さや幅、深さを見て肉付きを確認します。走りのリズムを生み出す源で首と同様注目したい部位です。
○肩の角度
首の角度や長さが、距離適性や走るフォームに影響を与えるといいましたが、肩の角度もそれと同じように走るフォームに影響を与えます。
角度はキ甲から肩端(けんたん)への引いた直線(すなわち肩甲骨のライン)とキ甲からまっすぐ地面に下ろした線の角度の開き具合で判断します。角度が広い馬は「肩が寝ている」馬、肩の可動域が広くそれだけ大きなストライドが可能になります。45度に近いのが理想的といわれます。よくパドックで「この馬は肩の出がいい」等といいますが、肩が大きく動くとフットワークも大きくなり、中〜長距離への適性が高くなります。
角度が小さい馬は「肩が立ち気味」な馬で、肩の可動域が狭くストライドが小さくなります。走法もピッチ走法に近くなり、推進効率は落ちますがその分回転率が上がるので短距離向きといえます。
一般的に、立ちすぎた肩はフットワークの柔軟性を損なうので嫌われますが、短距離馬はある程度立っていたほうが適性が高いでしょう。逆に寝肩の馬は連動的に首の角度も低くなり、首を支点に大きく全身を使ったフットワークをする馬が多いです。そういった馬はエネルギー消費効率(燃費)が良いので、長い距離を走るのに適していると自分は考えています。
○胸の寸法・肉付き
胸は横から見たときの深さ(縦方向)と長さ(横方向)、さらに前から見た際の幅(厚さ)で全体的な寸法を把握します。
まず深さ、長さ、幅に共通していえるのは容量が大きい馬がそれだけ心肺機能が見込めるということ。特に胸の深さがある馬は心臓が強い(by竹園正繼氏)とのことです。大きな肺は肺活量の増大につながり、ひいては競走能力の向上が見込めます。
それから幅のある馬は筋肉量が多く、前脚の掻き込みが強い傾向にあります。ゴツい胸前はパワー優先型で短距離・ダート、あるいは急坂のあるコースで適性を発揮します。反面、柔軟性を欠くので首使いに影響が出たりと、長い距離を走るのには適していません。幅は本来、横からでは判別が付きませんが、筋肉の付き方、隆起を読み取ればそれなりに判別可能です。
ただし、胸の寸法に関しては幅だけでなく、深さや長さにしても大きければいいというものではないように思います。いくら一部が大きくてもバランスが悪ければ結果としてNGという場合もあり、前後の体の大きさのバランスから考えて適度な深さ・長さ・幅が求められます。馬を見る際はパーツ(部分)でみることも大事ですが、個々の結びつきを考えてトータルバランス(全体)を見ることが最も重要だと思います。
※この内容は編集途上です。今後、加筆修正しながら徐々に書き足していく予定です。